汗の臭いやわきがの臭いは、汗そのものではなく菌が原因です。
汗に含まれる老廃物や皮脂が、菌によって代謝・分解されることニオイが発生します。
それなら、手足や脇の下をアルコール消毒すればニオイが防げるのでしょうか?
感染症対策としてここ最近すっかり定着した手指の消毒用アルコールを、体臭ケア目的で使うには注意が必要です。
皮膚の菌について
まずはイヤな臭いを発生させる「菌」についてみてみましょう。
私たち人間の皮膚には、皮膚常在菌と呼ばれるさまざまな種類の菌が存在しています。
皮膚常在菌は肌にとって必要なものです。
肌を守るはたらきをもつものを「善玉菌」、肌トラブルの原因になるものを「悪玉菌」と呼んでいますが、私たちの肌は、善玉菌と悪玉菌のバランスが保たれていることで健康な状態が保たれています。
皮膚常在菌の中でも、汗に含まれる成分や皮脂を分解して臭いを発生させる菌は複数存在します。
代表的なものとしては、ブドウ球菌や真菌などが挙げられます。
近年の研究では、汗臭さ特有のにおいは「マイクロコッカス属細菌」が原因であることがわかりました。
また、皮膚にアポクリン線が多い人は、わきがになりやすいことは知られています。
それに加えて、わきがの人の皮膚には「コリネバクテリウム属」の菌が多く存在していて、この菌がアポクリン汗を代謝・分解してワキガ特有の臭いを特徴づけることも解明されました。
ただし汗臭・わきが臭をはじめとする体臭は、これら単独の菌が原因ではなく、様々な臭いが混じり合って構成されています。
ケアする際は、様々な菌に対して有効なものを選びましょう。
アルコールで消毒すれば汗やわきがの臭いが消えるの?
それでは、消毒用アルコールの有効性と注意点についてはどうでしょうか?
※ここで言うアルコールとは、一般的な手指消毒用の76.9%〜81.4%の濃度のアルコール(エタノール)を指します。
アルコールで殺菌できるけれども・・
アルコールは、様々な菌に対して高い効果を発揮します。
皮膚を消毒することで、多くの菌を除去して汗やわきの臭いを抑えることは可能です。
ただし、日常のニオイケアとして使うのはおすすめできません。その理由は以下のとおりです。
・効果は一時的で持続性はありません
アルコール消毒は殺菌作用が強いうえ、即効性があるので、数十秒で皮膚上の菌は殺菌されます。
ですが、皮膚からは常に汗が分泌されます。また、時間の経過とともに残った菌はすぐに繁殖するので、2〜3時間程で元の数に戻ります。
つまり、効果はあるものの、一時的なものになります。
・刺激が強く肌トラブルなど悪影響を及ぼします
最も注意してほしいのが、肌への影響についてです。
アルコール消毒は、傷口に滲みるのはもちろんですが、菌だけでなく、皮膚の表面を保護するバリアとして機能している皮脂膜まで落としてしまいます。
失われた皮脂膜は通常は時間の経過とともに徐々に回復しますが、何度も消毒していると回復が追いつかなくなり、肌のバリア機能が低下します。
すると肌は必要な皮脂を補おうとしてより多くの皮脂を分泌したり、常在菌のバランスが崩れて悪玉菌が優位な状態になり、かえって体臭の悪化につながるのです。
さらに、皮脂膜が失われ弱った肌は、アルコールの揮発性により水分がどんどん奪われて乾燥した状態になるので、肌荒れ・かゆみ・かぶれ・湿疹など肌トラブルの原因になるのです。
このように消臭目的でのアルコール消毒は、肌トラブルが起きやすいため注意が必要です。
効果が短いからといって、何度も繰り返し皮膚を消毒するのはやめましょう。体臭を悪化させることにもつながります。
足の裏など皮膚が分厚く丈夫な箇所であれば問題ありませんが、それ以外の皮膚に使う場合は充分に注意が必要です。
特に、脇の下の皮膚は薄くデリケートです。アルコール消毒によるトラブルが起きやすい箇所なので、脇への使用は控えたほうがよいでしょう。
毎日の体臭ケアには消毒用アルコールではなく専用品を使用しましょう
以上のことから、消毒用アルコールは汗やわきがの臭い対策のために日常的に使うのはおすすめしません。
「外出先や人と会う前、どうしてもニオイを抑えたい・・・!」といった緊急の場合に、切り札としては使うには役立ちます。
ただし、毎日の使用や、一日に何度も繰り返しての使用は、肌トラブルにつながるため避けましょう。
日常的なニオイケアには、肌表面への刺激も考慮して作られた専用のケア製品を使うのがおすすめです。
以下は選ぶ際のポイントなので参考にしてください。
✔︎ 専用のケア製品の中でも、刺激が少なく自分の肌に合うものを選んでください。
敏感肌の人はアルコールフリー、香料不使用のものがおすすめです。
✔︎ わきが対策には、殺菌効果と汗そのものをブロックする効果のあるタイプが有効です。(ただしこのタイプは全身には使わず、脇の下など部分的に使用してください)
デオドラント剤の使い分けについてはこちらの記事で紹介しています。
ニオイ対策は肌表面だけでなく衣類のケアも忘れずに
イヤな臭いは、肌だけでなく衣類からも発生しています。
むしろ汗臭やわきが臭は肌よりも衣類に蓄積され、衣類を通じて周りの人に伝わる事のほうが多いのです。
肌の殺菌だけでは、衣類にしみ込んだ臭いまで抑えることはできません。
見落としがちですが、衣類のケアもしっかりと行いましょう。
衣類のケアはどうすればいいの?
汗をかいた衣類はなるべくこまめに着替えるか、または衣類用デオドラントスプレーなどを使って防臭・消臭の機能をもたせるのがおすすめです。
選ぶときにチェックしたいポイントは、以下のとおりです。
✔︎ 抗菌効果
臭いの発生を防ぐ(防臭)ため、衣類上で菌の繁殖を防ぐ効果のあるものがおすすめです。
✔︎ 消臭効果
すでに発生した臭いはしっかり消臭できるものを選んでください。
✔︎ 肌に優しい
衣類用のスプレーであっても、肌への刺激が少なく優しい成分のものを選びましょう。
効果が強力な一部の製品の中には刺激が強いものもあるので気をつけてください。
✔︎ 効果が長持ちする
長時間しっかり効果が続くタイプであれば、一日中ニオイを防げるので安心です。
ぜひこれらの観点から、あなたに合った衣類のケア用品を探してみてください。
肌と衣類を両方からケアすることで、効果もぐっと高まります。
ニオイを気にせず快適に一日を過ごすために、肌+衣類へのダブル対策をぜひお試しください。
◆おすすめの衣類ケアスプレー◆
「U-PARM(ユーパーム)」は、衣類用のデオドラント剤です。
衣類にスプレーすることで、いつもの衣類がデオドラントウエアとして気になるニオイをしっかりブロックしてくれます。
高い抗菌効果でニオイの発生を防ぎ、さらに発生したニオイはしっかり消臭します。
手軽に使えて、安全性も高く大変おすすめです。
さいごに
アルコール消毒は体臭を一時的に抑える効果はありますが、肌への負担が大きいので、毎日のケアにはおすすめしません。
どうしてもニオイが気になるときのみ、奥の手として有効に活用してください。
普段の体臭ケアには、肌に優しく効果の高いデオドラント剤+衣類へ対策を行うことがおすすめです。