湿度が高く暑くなる季節に特に気になる、脇汗とニオイ問題。
「わきの汗が多くて臭うけど、もしかしてワキガ？」「ワキのニオイが強いのは多汗症？」と心配する声をよく聞きます。
多汗症とワキガは混同されたり一緒くたにされがちですが、異なるものです。
脇汗とニオイに悩む方は、ワキガや多汗症を理解して、自分が本当にそれらに該当するのか、またはどの程度なのかを見極めたうえでの適切な対策を行いましょう。
ワキ部分は汗が多いエリア。誰でもニオイが発生しやすい
誰でもワキ部分には汗腺が多くあるので、たくさんの汗をかきます。さらに、ワキ部分は、皮膚に挟まれ、温度が高く蒸れた状態になりがち。つまりワキは細菌が繁殖しやすい環境になりがちで、ニオイが発生しやすくなります。
そのため、ワキ部分に多く汗をかく→ワキが臭う→多汗症＝ワキガ、と考えられがちですが、それは誤りです。ワキガと多汗症は異なります。また、汗臭をワキガ臭だと思いこんでいる人も多くいます。
腋の下に存在する汗腺
腋の下には、アポクリン汗腺・エクリン汗線の両方が存在します。
アポクリン汗腺・・・脂肪分やタンパク質などの老廃物を多く含む汗を分泌。短時間で多く細菌が繁殖して強いワキガ臭の原因となります。ワキの下には多く存在します（遺伝・体質により、アポクリン腺の数は異なります）。
エクリン汗腺・・・塩分が多い通常の汗を分泌します。エクリン腺からの汗は比較的ニオイは発生しにくいですが、時間の経過とともに汗臭が発生します。誰の体にも存在し、体全体に分布していますが、ワキの下には多めにあります。
このため、ワキの下は、全ての人にとって汗臭が発生しやすい場所といえます。
ワキガとは？
ワキガのニオイは、アポクリン腺から出る汗が細菌に代謝・分解されることで発生します。通常の汗臭とは異なり、独特の強いニオイが特徴です。
ワキガ臭の発生しやすさ（アポクリン腺の多さ）は体質により異なります。セルフチェックとして
・耳垢が湿っている
・脇毛が多い
・衣服の脇部分などが黄ばむ
・両親がわきが体質である
に当てはまる場合は、わきが体質である可能性が高いといえます。その他ストレスや食生活によってもニオイの強さは異なります。
ワキガはどんなニオイ？
ワキガ独特のニオイは、人により異なり、また年齢により変化しますが、玉ねぎ・硫黄・カレースパイス・鉛筆の芯・プラスチックなどのニオイに例えられます。
通常の汗臭について
一般的な汗臭は、エクリン線から出る汗が原因です。エクリン腺からの汗は塩分が多いため菌は繁殖しにくくすぐには臭いませんが、時間の経過とともに繁殖した細菌に分解・酸化されることでニオイが発生します。
汗臭は、誰にでもでも発生するものです。
汗臭はどんなニオイ？
汗臭そのものはモワっとしたニオイ、酸っぱいニオイなど表現されることが多いです。
（ただし、普段から運動不足の人の汗は、老廃物が多く含まれるため臭いが強くなります。
また、人によってはミドル脂臭や疲労臭など別のニオイが混ざったり、衣類に染み込んだ汗による生乾き臭が混ざることもあります。）
上記のワキガのセルフチェックには当てはまらないけど、脇汗のニオイが気になる・・・という人は、ワキガではなく、汗臭が強くなっている可能性が高いでしょう。
多汗症
腋の下は、汗を多くかくうえに、かいた汗が乾きにくいため、誰にとっても汗が気になる場所です。
ただし、明らかに異常な発汗がある場合は、多汗症の可能性があります。
多汗症は、様々な原因からエクリン腺汗が大量に分泌されるものです。そのため、時間が経つと汗臭は発生するものの、ワキガとは異なり、独特の強いワキガ臭にはなりません。
本当にわきがor多汗症？見極めて適切な対策を
このように、ワキガと多汗症は異なるものです。また、自分はワキガもしくは多汗症だと思いこんでいる人であっても、実際はそのどちらにも該当しない人も多くいます。（ニオイを気にするあまり、実際はしないニオイに悩む「自臭症」というケースもあります）ニオイの原因はワキガでなく通常の汗臭であるという場合が多いのです。
ワキガに該当する場合であっても、様々な治療・改善が可能です。腋のアポクリン腺を切除する外科手術だけでなく、ボトックス注射など様々な方法の中から、自分に適した治療が可能です。
軽度のワキガであれば、日常生活における対策だけで充分です。ワキガではなく、汗臭の対策も同じです。
・動物性脂肪を控え野菜を多く摂る食生活を
・ストレス・疲れをためない
・脇部分を清潔に保ち、毛は処理する
・デオドラント剤を使用して脇汗をブロック（脇汗は体温調節に影響がないためブロックしても大丈夫です）。衣類にも抗菌効果のあるものを使用する
・汗をかいたらこまめに着替えるか汗を拭き取り、清潔にする
・普段から運動を行い老廃物の少ない「良い汗」をかけるよう習慣づける
また、多汗症に該当する場合は、ニオイでなく汗の量が問題です。手術や電気療法、薬などの治療の中から程度に応じて最適な方法で改善できるので、病院に相談しましょう。
まれに、ワキガと多汗症の両方の症状がある人もいます。その場合はより細菌が繁殖しやすくなるためニオイは強くなりますが、両方を治療できる「ミラドライ」などの治療法もあります。諦める必要はありません。
まとめ
わきがと多汗症は異なります。いずれの場合も、症状・強さに応じた適切な対策・治療で改善可能です。
悩む人は、しっかりケアを行うことで安心材料になります。
脇汗やニオイを気にしすぎると、逆にストレスや精神的発汗のためニオイは強くなり悪循環です。必要以上に思い悩まず、適した対策を行い、前向きに過ごしてください。
